2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「アステリズムに花束を」感想<後編>

[月と怪物]著:南木義隆 共感覚の持ち主であったセーラヤは、妹ソフィーアとともにスラムから国の特殊能力研究施設に送られる。研究施設での生活で、セーラヤは軍人のエカチェリーナと次第に親しい関係になっていく。しかし、同性愛がバレた二人は引き離され…

「転生勇者が実体験をもとに異世界小説を書いてみた」感想

ジャンプの小説レーベル JUMP J BOOKS にて掲載されている乙一氏による恋愛短編小説。 https://j-books.shueisha.co.jp/file/tenseiyusha.html 現代日本に転生した異世界勇者が、自らの冒険譚を「シーリム」と題して小説投稿サイトに投稿する。小説投稿サイ…

「アステリズムに花束を」感想<前編>

SF×百合というテーマのもと9話の短編が収録された本書。百合というジャンルを読んだことがなかったが、人の感情を扱っているジャンルとして興味があったため、手に取った。初めてのジャンルでありながら、その登場人物の感情を紐解いて読み進めるのはとても…

「滅びの園」感想

私は恒川光太郎氏の小説が好きである。 滅びの園はその恒川光太郎氏が描くSFファンタジーである。ホラー作家として知られている恒川氏がどのようなSFファンタジーを描くのか、楽しみだった。 恒川氏が本作で描く主人公は日常に疲きったサラリーマン鈴上誠一…

「動物農場[新訳版]」感想

この本を読んだ読者は「さて、自分は一体どの動物だろうか?」と思い悩んでしまうだろう。勿論、読者は人間なのだが、そのくらいこの本はよく人間の社会を風刺している。 この物語の始まりは人間の農場主であるジョーンズを動物たちが農場から追い出すところ…